米大統領、ボルトン氏の北朝鮮強硬策批判
リビア方式は「大きな過ち」
トランプ米大統領は11日、ホワイトハウスで記者団に、解任したボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)について「大きな過ちを幾つか犯した」と述べ、北朝鮮政策などをめぐり同氏の強硬な外交姿勢を批判した。ボルトン氏の立場を否定したことで、今後、トランプ政権が北朝鮮やイランとの対話を進める方向に舵(かじ)を切る可能性が出ている。
北朝鮮の非核化をめぐりボルトン氏が制裁緩和に先立ち核兵器の放棄を求める「リビア方式」を提唱。トランプ氏は、この発言がリビアの故カダフィ大佐が大量破壊兵器を放棄した後に失脚し殺害されたことを想起させたため、北朝鮮との交渉が停滞したとし、「そのようなことは言うべきでなかった。金正恩委員長が反発したことを責めるつもりはない」と語った。
北朝鮮は非核化の段階ごとに経済制裁緩和などの見返りを受けることを求めているが、ボルトン氏の辞任により、トランプ政権がこの「段階的非核化」を受け入れる形で実務者協議を再開させる可能性が指摘されている。
一方、ブルームバーグ通信は11日、トランプ氏がイランのロウハニ大統領と今月中に首脳会談を実現させるため、制裁緩和を検討していると報じた。トランプ氏は、ホワイトハウスで記者団に「何が起きるか見てみよう」と述べ、含みをもたせた。
ブルームバーグは3人の消息筋の話として、トランプ政権が9日に制裁緩和案について議論したと伝えた。ムニューシン財務長官が支持を表明したが、対イラン強硬派のボルトン氏が強く反発。その後、トランプ氏はボルトン氏の解任を決断したという。
トランプ氏は、今月下旬の国連総会に合わせてロウハニ氏との首脳会談を行うことを目指しているとされる。イランが対話の条件として要求する原油禁輸などの制裁緩和にトランプ政権が踏み切るかが注目されている。
ボルトン氏の後任についてトランプ氏は、「ふさわしい人物が5人いる」と述べ、来週発表する意向を改めて表明した。ビーガン北朝鮮担当特別大使やフック・イラン特別代表らの名前が浮上している。
(ワシントン 山崎洋介)