米宇宙軍、正式に発足
対中露で優位性の確保狙う
トランプ米大統領は29日、宇宙における軍事作戦を統括する「宇宙軍」を正式に発足させた。特殊作戦軍やサイバー軍などと並ぶ11番目の統合軍となる。中国、ロシアが宇宙の軍事利用を進める中、これに対抗し優位性を確保する狙いがある。
トランプ氏はホワイトハウスで行われた式典で「米国の安全保障にとって宇宙の重要性を認識した歴史的な日だ」と指摘。その上で「宇宙における米国の優位性が疑われることも、脅かされることもないことを保証する」と強調した。
また、人工衛星を攻撃する兵器などの開発を進める中国やロシアを念頭に「敵は新たな兵器で軍事作戦やわれわれの生活に不可欠の衛星に狙いを定めている」と非難。「宇宙において自由に作戦を行うことは、米国に向けられたミサイルを探知し、破壊する上で必要不可欠だ」とも訴えた。
宇宙軍の司令官に就任したレイモンド空軍大将は29日、国防総省で記者会見し、中国とロシアが宇宙における米軍の作戦を脅かしているとし、「宇宙空間における優位性を当然のものと考える余裕はない」と指摘した。
トランプ氏はまた、陸海空の各軍と並ぶ6番目の軍種としての「宇宙軍」の創設にも改めて意欲を示した。これには議会の承認が必要となるが、予算が増加することへの懸念もあり、実現するかは不透明だ。
(ワシントン 山崎洋介)