中距離ミサイル開発で中露に対抗
次期米国防長官のエスパー氏公聴会
トランプ米大統領から次期国防長官に指名されたマーク・エスパー陸軍長官の指名公聴会が16日、下院軍事委員会で開かれた。
エスパー氏は中露に対する米軍の優位性を維持するために、人工知能の開発やサイバー戦能力の向上を図る必要性を強調。中距離核戦力(INF)全廃条約が8月に失効することを受け、中距離ミサイルの開発を進める考えも示した。
エスパー氏は、8月に失効期限を迎えるINFに関しては、ロシアや中国の脅威に対抗するため「こうしたミサイル能力の開発を確かなものにする必要がある」と述べ、これまで同条約で禁じられていた中距離ミサイルの開発を進めると表明。
特にロシアが同条約に違反して欧州に高速で低軌道のミサイルを配備しているとして、対応する必要性を訴えた。
また、人工知能について「戦闘の性格を変える可能性が高い。それを支配した国が、何年もの間、戦場で優位に立つだろう」と述べ、「我々が一番先にそこまで到達しなければならない」と強調。
サイバー戦について、米国は「サイバー攻撃の技術を持っているが、その使用に関する現在の法律は追いついていない」と指摘。守備面では、米軍は民間部門とともに「脆弱(ぜいじゃく)なまま」だと課題を述べた。
さらにエスパー氏は、中国が「巡航ミサイルと短・中距離弾道ミサイルに投資し、(伊豆・小笠原諸島からグアムを結ぶ)第2列島線までを危険にさらそうとしている」と警戒感を表明。こうした脅威に対抗するため「新しい作戦概念を開発し続け、分散した回復力のある態勢を構築し、新たな戦力を投入する」考えを示した。
(ワシントン 山崎洋介)