米政権は対イラン制裁で金属を追加
核合意一部停止受け牽制
トランプ米政権は8日、イランの鉄、アルミニウム、銅の各分野を制裁対象に加える大統領令を出した。イランによる核・ミサイル開発やテロ支援などへの資金源を断つことが狙い。イランが核合意履行の一部を停止すると発表したことを受け、圧力を強めることで牽制(けんせい)した。
トランプ政権がイラン核合意からの離脱を表明してから8日でちょうど1年。トランプ大統領は声明で「核合意はひどく一方に偏った合意」だと改めて批判し、イランは引き続き核兵器への野心を持ち続け、弾道ミサイルを開発し、テロ組織を支援していると指摘した。
今回の制裁により、イラン側とこれらの金属の取引に関わった金融機関は、米国での口座開設を禁止するなどの制裁を受ける。トランプ氏は、イランの輸出の約10%を標的としたものだとし、「イラン産の鉄鋼などの金属を輸入することが、今後は容認されるものではないと他の国に知らせるものだ」とその意義を訴えた。
トランプ氏はまた、イランに対して「根本的に行いを改めなければ、さらなる措置を予想してよい」と述べ、イランが譲歩しない限りは圧力を強めると強調。その一方で「合意を結び、イランの将来に向けた措置を講じるために、いつの日かイランの首脳と会談することを楽しみにしている」と述べ、弾道ミサイル開発などを盛り込んだ新たな合意を結ぶことに意欲を示した。
一方、ポンぺオ国務長官は、8日の声明で、イランが核合意の履行を一部停止すると発表したことについて、「国際的規範に反して、世界を人質にしようとする明白な試みだ」と強く非難。履行の一部停止によって、核兵器を開発するための時間を短縮する恐れがあるとし、イランが「地域を不安定化させる野心を放棄するまで、体制に最大の圧力をかけ続ける」と強調した。
(ワシントン 山崎洋介)