中国の人権侵害「群を抜く」


ウイグル族拘束を強化 米報告書

 米国務省は13日、世界各国の人権状況をまとめた2018年版の報告書を発表した。ポンぺオ国務長官は、中国について「人権侵害に関しては群を抜いている」と批判。新疆ウイグル自治区におけるイスラム教徒の弾圧やキリスト教徒、チベット族への迫害を問題視した。

ポンペオ米国務長官

ポンペオ米国務長官=1日、マニラ(EPA時事)

 ポンぺオ氏は、「昨年、中国は記録的な水準でイスラム教少数派の拘束を強化した」とし、「現在、ウイグル族など100万人以上のイスラム教徒が彼らの宗教的、民族的な独自性を消去するために再教育キャンプに収容されている」と非難した。また、キリスト教徒、チベット族への迫害や政府への反対意見に対する弾圧を強めていると指摘した。

 報告書では、中国政府がイスラム教徒少数派の拘束を「著しく強化している」と強調。メディアや人権団体などが「収容者の一部に対し虐待や拷問、殺人が行われていると伝えている」と記述した。

 報告書ではまた、政情不安が続くベネズエラについては、治安部隊による殺害や拷問が行われていると指摘。ジャーナリストの話として「1月から8月までにカラカス首都圏で20歳未満の147人が死亡し、このうち65人が警察によるものだった」とした。テレビやラジオの放送を遮断するなどメディアの活動を妨害しているとも批判した。

 サウジアラビアについては、トルコ・イスタンブールで昨年10月にサウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が殺害されたことについて、「(サウジの)政府要員が実行した」と指摘。ただ、犯行を指示した疑いのあるムハマド皇太子の関与については言及しなかった。

 北朝鮮については、「政府による違法または恣意(しい)的な殺害や拷問が行われている」と指摘。政治犯の収容所について「過酷で生命を脅かすことが多い」と懸念を示した。

(ワシントン 山崎洋介)