ベネズエラ政府が独大使に国外退去要請
「暫定大統領」の帰国支援で
南米ベネズエラ政府は6日、在ベネズエラのドイツ大使を「好ましからざる人物(ペルソナ・ノン・グラータ)」として、国外退去を要請した。48時間以内にベネズエラから退去する必要があるとしている。
国外退去の対象となったドイツ大使のクライナー氏は4日、野党指導者のグアイド国会議長を暫定大統領と承認して支持するフランスやブラジルなど12カ国の大使らと共に、空路で帰国したグアイド氏を空港で出迎えた。グアイド氏は、1月23日の暫定大統領就任宣言などをめぐり、当局から出国禁止令を受けていたが、先月22日から支援物資の搬入支援を行うために隣国のコロンビアに出国。その後、ブラジルやアルゼンチンなどの首脳と会談、マドゥロ政権に対する外交圧力を含む支援を求めていた。
一方、マドゥロ大統領は、「(グアイド氏が)帰国すれば逮捕する」と脅迫、これに対して、米国などが「拘束すれば相応の代償を払うことになる」とベネズエラ当局を牽制(けんせい)していた。
クライナー氏ら各国大使は、グアイド氏の拘束を防ぐための外交圧力として空港まで赴いたが、ベネズエラ政府は「内政干渉」と判断している。ドイツ政府は、「(国外退去命令は)状況を悪化させて緊張を生むだけだ」と、ベネズエラ政府の対応を批判した。
こうした中、米国のボルトン大統領補佐官は同日、外国の金融機関に対してマドゥロ政権との取引を行わないように警告、取引を行った場合には制裁の対象にするとした。また、ペンス副大統領は6日、マドゥロ政権の政府高官やその家族ら77人の米国査証を取り消すとの新たな制裁措置を発表した。米政府は、2月28日もマドゥロ政権の高官を対象として49人の米国査証を取り消している。
(サンパウロ 綾村悟)