ベネズエラ問題、米州11カ国が宣言
「軍は暫定大統領に忠誠を」
カナダ、ペルー、ブラジルなど米州14カ国で形成される「リマ・グループ」が4日、カナダのオタワで閣僚会合を開催した。同グループのうち11カ国が会合後に宣言を発表し、ベネズエラ軍に対して、暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長に忠誠を示すことを求めた。一方、「武力行使ではなく、政治・外交的手段による平和的な移行プロセスを支持する」と表明した。
宣言は、グアイド氏を暫定大統領として支持するとともに、ベネズエラ危機に対する「平和的解決」と「自由で公正な選挙の開催」を求めた。また、国連や国際社会に人道支援を呼び掛けるとともに、ベネズエラ軍が人道支援を妨げないように要求。マドゥロ政権が海外での金融・貿易取引などを行うことを防止する措置を取るよう国際社会に要請した。
14カ国のうち、今回の問題で中立的な立場のメキシコのほか、ガイアナ、セントルシアはこの宣言に加わらなかった。
カナダのフリーランド外相は閉会後の記者会見で、グアイド氏について「ベネズエラで唯一残っている民主的な機関の国会議長である」としてその正統性を強調。グアイド氏が断定政府のリマ・グループ参加を申請し、グループが受け入れたことを明らかにした。
グアイド氏を暫定大統領として承認したフランス、スペイン、ドイツも会議に出席。ポンペオ米国務長官もビデオ中継で参加した。
会議に先立ち、カナダのトルドー首相は、5289万カナダドル(約44億円)をベネズエラ難民などに対する人道支援のために拠出すると表明した。トルドー氏は、「マドゥロ政権による人権侵害と法の支配の完全な無視は容認できない」と非難した。
ベネズエラはチャベズ前大統領時代からロシアとの軍事協力を強化しており、グアイド氏の暫定大統領就任宣言後もパドリノ国防相がマドゥロ氏支持を表明した。一方、軍内には駐米武官や空将らが民主化を求めてグアイド氏を支持する動きも進んでいる。