トランプ米政権、宇宙に監視網構築目指す
中露の脅威に対抗
ミサイル防衛見直し公表
トランプ米政権は17日、中長期戦略「ミサイル防衛見直し(MDR)」を発表した。地上からは追跡が困難な極超音速ミサイルや新型巡航ミサイルに対抗するため、宇宙空間にセンサーを配置し、監視網を構築することを研究すると明記。新型ミサイルの開発を進める中国、ロシアによる脅威に宇宙を利用して対抗する方針を示した。
構想では、低高度を周回する120~300機の衛星にセンサーを搭載する。これにより地理的制約を受けずに、あらゆる場所から発射されるミサイルを探知し、追跡することを目指す。また、MDRでは宇宙からレーザー兵器などでミサイルを迎撃するシステムの開発も検討する。
トランプ氏は国防総省で記者会見し、「宇宙が新たな戦いの領域だ」と強調。創設を目指す宇宙軍によって宇宙空間を活用したミサイル防衛を推進する考えを示した。
MDRでは、このほか弾道ミサイルを発射直後の上昇段階で撃ち落とす高出力レーダーの研究も進めるとしている。
トランプ氏は「我々の防衛能力を世界で比類のないものとしなければならない」と強調。その上で「米国向けて発射されたミサイルをすべて破壊することが目標だ」と述べ、ミサイル防衛強化に強い意欲を示した。
MDRの策定は、オバマ前政権下の2010年以来9年ぶりで、トランプ氏が就任直後に指示していた。前回は主に北朝鮮やイランによる弾道ミサイルの脅威を対象としていたが、今回は新型ミサイルの開発を進める中国、ロシア両国に対応する必要があると強調している。
一方、北朝鮮のミサイル開発については、「引き続き大きな脅威で、米国は警戒を緩めてはならない」と指摘。イランについては、「米国を脅かす大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を続けている」として警戒感を示した。
(ワシントン山崎洋介)