ブラジル、ボルソナロ大統領が就任


左派路線と決別、銃規制緩和へ

 南米ブラジルの首都ブラジリアで1日、昨年10月の大統領選挙で当選した元軍人の右派ジャイル・ボルソナロ大統領(63)の就任式が行われた。任期は4年。

ボルソナロ新大統領

有権者に向かって手を振るブラジルのボルソナロ新大統領(中央)とミシェル夫人(左)=ブラジル通信

 ボルソナロ氏は、大統領府前に詰め掛けた数万人の支持者や外国からの要人らの前で宣誓。就任式には、ポンペオ米国務長官やイスラエルのネタニヤフ首相らが出席する一方、2002年から16年まで続いた左派・労働党政権下で就任式に呼ばれていたキューバや反米左派政権のベネズエラからの要人出席はなかった。

 ボルソナロ氏は、議会で行われた就任演説で大統領選挙時の公約でもあった汚職や犯罪の撲滅に取り組むことを約束、劣悪な治安対策として公約通り銃規制の緩和を進める考えを示した。さらには「過去十数年続いた左派政権の誤りを正す」「社会主義と決別する」などと明言した。

 閣僚人事では、自由市場主義の経済人ゲデス氏を登用、経済界からの支援を取り付けるとともに、汚職や犯罪に取り組む法相人事には、政界汚職に切り込んでルラ元大統領を収賄容疑で有罪判決にまで持ち込んだ「国民の英雄」モロ判事を就任させた。省庁削減などを次々と断行するボルソナロ氏に対する支持率はいまだに高いが、閣僚22人のうち7人は軍人や元軍人が占めており、ボルソナロ氏による過去の軍政擁護発言も含めて、一部からは懸念の声も上がっている。

 大統領選挙で泡沫政党の社会自由党(PSL)から出馬し、右派のボルソナロ氏が当選した背景には、長年続いた左派の労働党政権下で汚職が蔓延(まんえん)、国民の政界不信が限界に達したことがある。経済が低迷し、治安も悪化する中で、国民の怒りや不満が既存政治への反発に向かった。

(サンパウロ綾村悟)