トランプ氏、「北朝鮮援助」と中国非難


米韓演習、再開ならかつてない規模

 米ホワイトハウスは29日、声明を発表し、停滞する北朝鮮との非核化交渉に関して、「北朝鮮は中国のすさまじい圧力にさらされている」と指摘。米中貿易戦争を背景に、中国が北朝鮮の非核化を妨害しているとの認識を示した。6月の米朝首脳会談後に凍結している米韓軍事演習については、もし再開すれば「かつてない規模になる」と強調し、北朝鮮を牽制(けんせい)した。

トランプ氏

トランプ氏(UPI)

 トランプ大統領は声明で、「中国が北朝鮮に資金や燃料、肥料、さまざまな他の日用品も含めかなりの援助をしていることを我々は知っている。これは有益ではない」と述べ、中国が北朝鮮への圧力を緩めていると批判した。

 トランプ氏は29日、ホワイトハウスで記者団に「我々と北朝鮮との関係については、中国がとても状況を難しくしている」と指摘。北朝鮮の非核化交渉が進展しない背景に、北朝鮮に対して影響力を強める中国の存在があるとの認識を示した。トランプ氏は24日、ポンぺオ国務長官の訪朝中止を決めた際も、「中国は以前のように非核化プロセスを支援しない」として、中国の姿勢を非難していた。

 ただ、トランプ氏は声明で、中国の習近平国家主席との関係は「非常に強固だ」と指摘。「貿易摩擦もやがて解決されるだろう」との見通しを述べた。

 また、トランプ氏は、金正恩朝鮮労働党委員長との関係について、「非常に良く、友好的」だと強調。「現時点では、米韓軍事演習に多額の資金を費やす理由はない」と述べ、再開の必要は当面ないとした。一方で、トランプ氏は、「大統領が選択すれば、韓国、日本との演習をすぐに再開できる」とも強調した。

 マティス国防長官は28日、米韓軍事演習について「我々にはこれ以上中止する計画はない」と述べ、再開の可能性を示唆していた。トランプ氏は再開の必要は当面ないとしつつも、今後も非核化協議の停滞が続けば、再び圧力を強める姿勢を明確にした。

(ワシントン山崎洋介)