トランプ米大統領、最高裁判事にカバノー氏
保守派の優位が強まる
トランプ米大統領は9日夜、7月に退任する連邦最高裁判所のアンソニー・ケネディ判事(81)の後任に保守派として知られるブレット・カバノー連邦高裁判事(53)を指名すると発表した。同氏の指名が上院で承認されれば、米社会に大きな影響力を持つ最高裁での保守派の優位が強まることになる。
現在、最高裁判事の構成は、保守派5人、リベラル派4人となっている。ケネディ氏は保守派とされるが、同性婚や人工妊娠中絶をめぐってリベラル側につくこともあり、国論を二分する問題で判決を左右する「スイング・ボート」となってきた。
一方、カバノー氏は、人工妊娠中絶や銃規制に否定的で、ケネディ氏よりも「はるかに一貫した保守派」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)とされる。同氏が就任すれば、最高裁が保守的な判断を下す可能性がより高まる。
カバノー氏は、1990年代に民主党のクリントン大統領をめぐる疑惑捜査に加わり、ブッシュ(子)政権でホワイトハウスの弁護士も務めた。高裁判事としては、温室効果ガス規制に反対する意見書を書くなど、規制緩和を支持する意見を示してきた。
トランプ氏はホワイトハウスの演説で、カバノー氏について「最も鋭敏で優れた法的思考の持ち主だと皆が認めている」と強調し、上院での速やかな承認と超党派による支持を求めた。
トランプ氏による最高裁判事の指名は昨年の保守派のゴーサッチ氏に続き2人目。共和党執行部は、11月の中間選挙前の承認を目指す意向を示している。
米上院では51対49で共和党が議席の過半数を占めているため、同党が一致すれば承認される。このほか、保守色の強い州で再選を目指す数人の民主党議員も賛成に回る可能性があるとみられる。
ただ、民主党のシューマー上院院内総務は「あらゆる手段で反対する」と反発しており、承認をめぐって党派間の対立が強まることが予想される。
(ワシントン山崎洋介)