トランプ氏、安保担当補佐官を解任


後任に強硬派のボルトン氏

 トランプ米大統領は22日、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)を解任し、後任に対外強硬派のジョン・ボルトン元国連大使(69)を充てると表明した。ボルトン氏は4月9日付で就任する。

クマスター氏(右)とボルトン氏

マクマスター大統領補佐官(写真右)とボルトン元国連大使(AFP=時事)

 ボルトン氏は、ブッシュ(子)政権で国務次官や国連大使を歴任。新保守主義(ネオコン)派の代表的人物で、2003年のイラク戦争では開戦を強く主張した。北朝鮮やイランに対して強硬な姿勢で知られる。

 北朝鮮の核・ミサイル問題について、ボルトン氏は同国への先制攻撃を主張。同氏は2月、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、北朝鮮による「脅威は差し迫っている」と指摘した上で、同国に対する「米国の先制攻撃は完全に正当である」と訴えていた。

 ボルトン氏は、安保担当補佐官としてトランプ政権の外交・安全保障政策の司令塔役を担う。トランプ氏は先週、ティラーソン国務長官を解任し、後任にポンぺオ中央情報局(CIA)長官を指名すると発表しており、5月に予定されている米朝首脳会談を前に外交・安全保障における人事を刷新する意図もあると見られる。

 対イラン政策に関して、ボルトン氏はトランプ氏にイラン核合意を破棄するよう求めていた。ポンぺオ氏もこれまで北朝鮮やイランに厳しい姿勢を示してきた。

 米メディアによると、ホワイトハウス高官は、トランプ氏とマクマスター氏が話し合いをした上で「憶測が続く代わりにチームを新しくすることが重要と考え、(解任の)時期を早めた」と述べた。一方、ワシントン・ポスト紙によると、両氏は気質が合わず、イランや北朝鮮への対応をめぐって考えが一致しなかったことが頻繁にあったという。

 ボルトン氏は、トランプ政権で3人目の安保担当補佐官となる。フリン前補佐官は、ロシア大使との接触をめぐり、政権首脳に虚偽の報告をしたとして1カ月足らずで辞任した。

 ボルトン氏は22日に発表した声明で「我が国をより安全で、強い国にするためにトランプ氏や政権のメンバーと共に働くことを楽しみにしている」と述べた。

(ワシントン山崎洋介)