トランプ米政権の新人事、外交方針に一貫性


 トランプ米大統領は13日、意見の不一致があったとしてティラーソン国務長官を更迭し、後任に自身が信頼を置く中央情報局(CIA)のマイク・ポンペオ長官を指名。14日には、2016年の大統領選でトランプ氏の顧問を務めた経済評論家ラリー・クドロー氏を国家経済会議(NEC)委員長に任命した。トランプ氏に近い両氏が就任することで、政権の外交方針に一貫性が生じるとみられる。(ワシントン・山崎洋介)

対北・イランで強硬路線

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は14日、解任が発表されたティラーソン氏の問題点について、パリ協定離脱からサウジアラビアとカタールの対立に至るまで「重要な点についてトランプ氏と見解が違っていた」と指摘。これに対してポンぺオ氏は、「イランや北朝鮮問題については特に、よりタカ派的なトランプ氏の意向を共有している」としている。

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ポンペオ中央情報局(CIA)長官(写真右)とクドロー氏(AFP=時事)

 また、米有力シンクタンク、外交問題評議会のリチャード・ハース会長は14日、ポンぺオ氏には、就任時のティラーソン氏にはなかった三つの強みがあると指摘。それは、外交に精通していて、政治経験があることに加え、大統領との信頼関係を築いていることだと強調した。

 トランプ氏は、ポンぺオ氏について「波長が合う」と語っているように、2015年のイラン核合意や北朝鮮問題に対して、両氏は共に強硬な立場を共有してきた。

 共和党のグラム上院議員は13日に発表した声明で、ポンぺオ氏以上に「北朝鮮やイランの脅威を理解している人物はいない」と評価している。今後、ポンぺオ氏は、ティラーソン氏よりも強硬な外交姿勢を打ち出していくとみられる。

 北朝鮮については5月に米朝首脳会談が実現する見通しで、イラン核合意をめぐっては、トランプ氏が離脱するかどうかを5月12日までに判断するとしている。外交面において重大な局面を迎える中、ポンぺオ氏の手腕が早速試されることになる。

 一方、通商政策の面では、政権が鉄鋼・アルミに対する輸入制限措置を発表する直前の6日にコーンNEC委員長が辞任を表明。現在、中国に対して新たな制裁措置が検討されており、政権内では、ロス商務長官やナバロ通商製造業政策局長ら強硬派が影響力を強めているとみられる。