「安全で強い米国建設」 トランプ大統領一般教書演説


対北「過去の過ち繰り返さない」

 トランプ米大統領は30日夜(日本時間31日)、上下両院合同会議で就任後初となる一般教書演説を行った。この中で、「われわれは安全で、強く、誇り高い米国を共に建設する」と訴え、北朝鮮の核・ミサイル問題について「自己満足と譲歩は攻撃と挑発を招くだけだ。私は過去の政権の過ちを繰り返さない」と強調し、解決に向けて厳しい姿勢で臨む方針を示した。

トランプ氏

30日、ワシントンの連邦議会議事堂で一般教書演説を行うトランプ米大統領(AFP=時事)

 トランプ氏は、「もうすぐ米本土を脅かす可能性がある」と警戒感を示し、「それを防ぐために、最大限の圧力をかけ続けている」と力説した。

 演説では、「人種、宗教、信条などあらゆる背景を持つ国民を守るために、民主、共和両党のメンバーと共に働く」などと述べ、11月の中間選挙をにらみ融和姿勢を打ち出した。

 移民政策については、幼少期に親と不法入国した180万人に市民権に道を開く一方、メキシコ国境に壁を建設し、くじによる永住権付与を廃止する案を「公平な妥協策」として提示。「時代遅れの移民制度を改革すべき時だ」として、超党派での協力を呼び掛けた。

 経済面では、昨年末に成立した税制改革によって、「中間層や中小企業にとってとてつもない負担軽減になった」と主張。インフラ整備については、これまで表明していた官民合わせて1兆㌦(約108兆円)を上回る1兆5000億㌦(約160兆円)規模の投資を掲げた。

 安全保障面では、「ならず者政権やテロリスト、われわれの利益や経済、価値観に挑戦する中国やロシアなどの競合国家に直面している」と指摘。議会に対して、軍事支出の増加や核兵器の近代化と再建を求めた。

 また、過激派組織「イスラム国」(IS)をイラクやシリアの占領地から「ほぼ100%駆逐した」と実績を強調。一方で、「やるべきことは数多くある」と述べ、引き続き掃討作戦を続ける方針を示した。

(ワシントン山崎洋介)