チリ、ピニェラ前大統領が返り咲き
チリ大統領選、保守派が勝利
南米チリで17日、中道左派のバチェレ大統領の任期満了に伴う大統領選挙の決選投票が実施され、即日開票の結果、中道右派の野党連合に所属するセバスティアン・ピニェラ前大統領(68)が当選した。大統領就任式は来年3月11日で任期は4年、連続再選は憲法で認められていない。
決選投票は、ピニェラ氏とバチェレ大統領の後継候補でもある中道左派アレハンドロ・ギジェル上院議員(64)との一騎打ちだった。事前予想では僅差の接戦が予想されていたが、開票率99・7%の時点でピニェラ氏が約55%を獲得、46%のギジェル氏に9%の差を付けた。
大勢が判明すると、両候補は首都サンティアゴのホテルで共同記者会見を開き、ピニェラ氏は「対立ではなく協調と合意が必要だ」と強調、ギジェル氏に協力を呼び掛ける一方、ギジェル氏も改革への協力を表明した。
今回の選挙では、ピニェラ氏は企業減税などを通じた経済成長を約束、対するギジェル氏は社会保障政策の拡充などを訴えていた。
ピニェラ氏は、2010年に初めて大統領選挙に当選、14年まで政権を率いて経済成長を成功させた実績がある。今回の選挙では、前の任期中に示した政治手腕や業績をアピール、保守層、堅実な経済運営を求める経済界や有権者などを取り込んだ。
ピニェラ氏が初当選した10年大統領選は、左派政権が軍政から民政への政権移管後20年続いたところで初の保守政権登場となった。また、ピニェラ氏は、日本などが進める環太平洋連携協定(TPP)の推進派であることでも知られている。
(サンパウロ綾村悟)