米、42年ぶりの新型空母 ジェラルド・R・フォードが就役
最新技術で抑止力強化
米海軍の最新鋭原子力空母「ジェラルド・R・フォード」が先月22日、就役した。1975年以来、42年ぶりの新型で、空母は11隻態勢になった。
フォード級空母の最大の特長は、艦載機の発艦にリニアモーターを使った電磁カタパルトを採用したことだ。現主力のニミッツ級空母が使用している蒸気カタパルトより発艦効率が良く、1日の出撃回数を3割以上増やせるようになった。
また新型原子炉が2基搭載され、ニミッツ級の3倍となる約19万キロワットの発電が可能になった。従来の原子力空母は25年程度で核燃料を交換する必要があったが、フォード級空母は事実上、退役まで核燃料の交換は必要ないことも大きな違いだ。
最新技術を多く備えた新型空母について、海軍幹部は「米軍の新しい時代を導くものとなる」と強調。米メディアも「新型空母は安全保障に大きな影響を与える」などと報じた。
トランプ政権は海軍艦艇を現在の約270隻から350隻へ増やす方針を掲げており、海軍も空母12隻態勢を目指している。
米政府が海軍増強に力を入れるのは、海洋進出を続ける中国や核・ミサイル開発を進める北朝鮮のほか、ロシアや過激派組織「イスラム国」(IS)など世界の安保環境が激しさを増しており、米軍のプレゼンスを高め、抑止力強化を図る必要があるからだ。
すでにフォード級空母の2番艦「ジョン・F・ケネディ」は半分の建造が終わり、来年には3番艦「エンタープライズ」の建造も始まる。
ただ、両艦はそれぞれ空母「ニミッツ」と空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」の後継で、空母12隻態勢はしばらく先になりそうだ。
(ワシントン・岩城喜之、写真は米海軍提供)














