トランプ米大統領が就任早々、オバマ前政権が…


 トランプ米大統領が就任早々、オバマ前政権が策定した地球温暖化対策の計画の撤廃を宣言した。米国のような大量消費社会では従来、自然環境をめぐっては開拓が優先されてきた。環境保護や省エネの観念は根付きにくいのであろうか。

 1970年代のオイルショックの際にも、米国は輸出向けの石油を国内に回して自国の産業を保護するなどし、省エネ対策に見るべきものはなかった。国内に石油資源を抱えていることも大量消費の一因と言えよう。

 米国の歴史を見ると、植民開始以来350余年で高度な人工的景観が見られるようになった。開拓は初めから地下資源開発を最大の目的としており、埋蔵量の豊富な炭田や鉄鉱山が発見され生産の原動力となった。

 その間、ミシシッピの上流から東へ、五大湖地方を含んで、大西洋岸に至るまでの地域は米国の一大工業地帯となった。トランプ大統領の夢は、この工業地帯の勢いの復活にあるのだろう。

 「アメリカの発明した大量消費・大量廃棄というライフスタイルは地球環境問題の視点に立てば問題解決を遠のかせる以外の何ものでもない」(愛知和男著『次世代の日本へ』)のは確かだ。

 ただし「そのライフスタイルが『アメリカ文化』であるとした場合、それを非としてどこまで言及できるか」(同)というのもうなずける。国内産の原油、天然ガス、石炭の使用を増やすことに力点を置くトランプ大統領の政策の行方に注目したい。