米上院、ティラーソン国務長官を承認
「トランプ外交」の舵取り担う
米上院本会議は1日、トランプ大統領が国務長官に指名したレックス・ティラーソン前エクソンモービル会長(64)の人事を賛成56、反対43で承認した。ティラーソン氏は同日、ホワイトハウスで宣誓し、第69代国務長官に就任した。「米国第一主義」を掲げるトランプ外交のかじ取りを担い、混迷を深める中東情勢やロシア、中国との関係、北朝鮮の核・ミサイル開発などの外交課題に取り組むことになる。
ロシアのプーチン大統領と関係が深いティラーソン氏の国務長官就任は共和党からも懸念の声が出ていたが、この日は同党議員が全員賛成、民主党議員も一部賛成に回った。トランプ政権で議会承認された閣僚級としては6人目となった。
ティラーソン氏はエクソンモービルの会長として各国の首脳と付き合いはあるものの、政治や外交の経験はなく手腕は未知数だ。
ティラーソン氏は上院外交委員会の指名承認公聴会で、中国が南シナ海で人工島の軍事拠点化を進めていることについて「違法行為」だと厳しく非難していた。トランプ政権は中国に対して強硬姿勢を示しており、対中政策をどう進めるのかが焦点になる。
またティラーソン氏は中国が沖縄県・尖閣諸島に侵攻した場合には、日米安全保障条約に基づき防衛義務を果たす考えを表明していたが、日本との関係にどう取り組むのかは現段階で不透明だ。
トランプ氏が出した難民やイスラム圏7カ国出身者の一時的な入国禁止に対して、抗議メモに署名した国務省の現職職員が先月31日までに約900人に達したことから、現場の混乱をうまくまとめられるかもポイントとなる。
(ワシントン岩城喜之)