次期米国務長官、尖閣防衛義務を確認
トランプ次期米大統領が国務長官に指名したレックス・ティラーソン前エクソンモービル会長(64)は11日、上院外交委員会の指名承認公聴会で、中国が沖縄県・尖閣諸島に侵攻した場合、日米安全保障条約に基づき防衛義務を果たす考えを表明した。また、中国による南シナ海の人工島建設を「国際規範を無視した違法占拠」と断言するなど、中国に対する警戒感を鮮明にした。
ティラーソン氏は、マルコ・ルビオ上院議員の「中国が軍事力で尖閣諸島奪取を試みた場合、米国が軍事力でこれを阻止することを支持するか」との質問に対し、「米国には日本や韓国と長年にわたる同盟の約束があり、その協定に従って対応する。米国は日本に防衛の保証を約束してきた」と強調した。
大統領選で日本を含む同盟国に批判的な発言を繰り返していたトランプ氏が、尖閣諸島を含む日本防衛義務を果たすかどうか疑念が出ていたが、ティラーソン氏の発言は、日本側の懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。一方で、ティラーソン氏は「義務を果たさない同盟国を見て見ぬふりはできない」とも主張し、同盟国に負担拡大を求める考えを示した。
ティラーソン氏は「米国が直面する脅威」の事例として中国を真っ先に挙げ、「米中の相互関係は友好的でも敵対的でもある」と指摘。中国が北朝鮮に十分な圧力をかけていないことについても「信用できるパートナーではない」と、強い不満を示した。
トランプ氏は「一つの中国」原則に縛られない考えを示すなど、次期米政権は対中強硬路線を取るとの観測が出ていたが、ティラーソン氏の発言から中国に厳しく対処するトランプ政権の方向性が一段と鮮明になった。
ティラーソン氏はエクソンモービル会長時代、ロシアのプーチン大統領と親密な関係を築いていたことから、対露関係をめぐる見解に注目が集まった。ティラーソン氏は「ロシアの最近の行動は米国の国益を無視している」と批判する一方で、テロとの戦いなど「共通の利益に基づく協力は可能」とし、対話に前向きな姿勢を示した。
(ワシントン早川俊行)