次期米大統領、南シナ海問題で中国批判
軍事拠点化に反対表明
トランプ次期米大統領は4日、ツイッターに「南シナ海で大規模な軍事施設を建設してもいいと、中国がわれわれに尋ねたのか。私はそう思わない」と書き込み、中国が南シナ海で進める軍事拠点化を強く批判した。
また、トランプ氏は「米企業の競争を難しくする通貨の切り下げや、米国の製品に重い関税をかけてもいいかと、中国がわれわれに尋ねたのか」と書き込み、中国の通商政策についても批判を浴びせた。
トランプ氏はこれまで、中国を「為替操作国」と非難していたが、南シナ海問題では態度を明確にしていなかった。一方で、同氏の周辺からは中国による周辺諸国への圧力に対抗する必要があるとの声も上がっていた。
トランプ氏の書き込みは中国の力による現状変更に対して厳しい姿勢を示したとも言え、次期政権によるアジア太平洋地域の安全保障政策を占うものとして注目される。
南シナ海では中国が、台湾、ベトナムなどと領有権を争う西沙(英語名パラセル)諸島や、フィリピン、ベトナムなどと領有権を争う南沙(英語名スプラトリー)諸島などで、一方的に浅瀬や環礁を埋め立てて軍事拠点化を進めている。
ただ、中国が南シナ海をほぼ囲むように設定する独自の境界線「九段線」は、7月12日に仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判決によって国際法上の根拠がないと認定されている。同判決は、10月に行われた中国の習近平国家主席とフィリピンのドゥテルテ大統領による首脳会談で事実上、棚上げされたが、トランプ氏の発言はこうした動きを牽制(けんせい)した形になる。
トランプ氏は2日に台湾の蔡英文総統と電話会談しており、これまで米国が取ってきた対中政策の慣例にとらわれない姿勢を示していた。
(ワシントン岩城喜之)