米国防長官にマティス氏、トランプ氏が5日正式発表
海兵隊出身、中東戦略に精通
トランプ次期米大統領は1日、オハイオ州シンシナティで行われた大規模集会で演説し、新政権の国防長官にジェームズ・マティス元中央軍司令官(66)を起用すると明らかにした。トランプ氏は「彼は(国防長官に)最善だ」とし、5日に正式発表すると語った。
マティス氏は海兵隊出身。湾岸戦争やアフガニスタン、イラク戦争などで部隊を指揮したほか、2004年のイラク中部ファルージャ制圧作戦では大きな役割を果たした。10年から中東地域などを管轄する中央軍の司令官を務め、13年5月に退役した。
これまでの経歴から安全保障や軍事戦略への知見が深く、「戦場での強靭性や聡明さ」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)があると高く評価されている。特に中東戦略に精通していることから、トランプ氏の公約である過激派組織「イスラム国」掃討の対応を任されることになる。
退役の原因は中東戦略などをめぐってオバマ政権と意見が対立したためとされている。一線を退いた後も、オバマ政権について、安全保障に対する明確な戦略を持っていないとたびたび批判してきた。
一方、米連邦法の規定では、元軍人が退役後7年以内に国防長官を務めることが禁止されている。このため、マティス氏が就任するには議会で規定の免除を特別に受ける必要がある。米メディアによると、1950年にトルーマン大統領がマーシャル元陸軍参謀総長を国防長官に指名したときに規定が免除されたことがある。
トランプ氏は11月19日にマティス氏と会談し、「素晴らしい男。大将の中の大将だ」と称賛していた。
(ワシントン岩城喜之)