経済、安保政策で応酬 両候補が初のTV討論会


2016米大統領選

 11月8日に行われる米大統領選の候補者による第1回テレビ討論会が26日夜(日本時間27日午前)、ニューヨーク州ヘンプステッドのホフストラ大学で行われ、共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)と民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官(68)が経済政策や外交・安全保障問題などで激しい論戦を交わした。

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26日、米ニューヨーク州ヘンプステッドで行われた大統領選のテレビ討論会で、議論を交わす民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(右)と共和党候補のドナルド・トランプ氏(AFP=時事)

 トランプ氏は、過去の通商政策が失敗したことで米国の雇用が多く失われたと指摘。その上で「米企業が海外に流出することを止める」と述べ、「私は雇用を取り戻せるが、クリントン氏はできない」と訴えた。

 また、かつてクリントン氏が環太平洋連携協定(TPP)を推進していたことを取り上げ、「(クリントン氏が)大統領になれば、TPPに賛成するだろう」と強調した。

 一方、クリントン氏は最低賃金の引き上げや男女同一賃金を実現させると主張。トランプ氏が富裕層重視の政策を掲げていることを「米国の経済成長にはならない」と批判し、「中間層の経済を繁栄させることが重要だ」と訴えた。

 外交・安保政策では、クリントン氏が「日本や韓国などの同盟国に対し、相互防衛条約を結んでいると確認し、それを尊重すると約束したい」と言明。さらに同盟国と協力しながら世界の平和に取り組む考えを強調した。

 また「ロシアが米国にサイバー攻撃を仕掛けているのは間違いない」とし、「サイバー戦争は次期大統領が直面する最大の課題の一つになる」と主張した。

 これに対し、トランプ氏は「(米国は)世界の警察官になることはできない」と強調。日本や韓国が米国に守ってもらうためには「応分の負担をすべきだ」と述べ、米軍駐留経費の負担増を改めて訴えた。

 また、オバマ大統領とクリントン氏がイラクから米軍を撤退させたことが過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を許したと批判。健康に不安を抱えるクリントン氏については「大統領に必要なスタミナがない」と指摘した。

(ワシントン岩城喜之)