トランプ氏、「米国第一」の方針強調


2016米大統領選

本選勝利へ課題山積

 11月の米大統領選に向け、共和党の全国大会で大統領候補に指名されたドナルド・トランプ氏は21日夜、オハイオ州クリーブランドで指名受諾演説を行った。トランプ氏は集まった参加者に「一緒に共和党をホワイトハウスに導こう」と述べ、8年ぶりの政権奪還を訴えた。また外交・安全保障や経済政策では、国益を最優先にした「米国第一」に基づいた政策を進める考えを改めて示した。

ドナルド・トランプ氏

21日、米オハイオ州クリーブランドで開かれた共和党全国大会で、親指を立ててみせる同党大統領候補の実業家ドナルド・トランプ氏(AFP=時事)

 トランプ氏は環太平洋連携協定(TPP)について「(米国の)製造業を破壊することになる」と主張。「労働者を傷つける貿易協定には決して署名しない」と強調し、反対姿勢を明確にした。その上で、「我々の仕事を守り、だましている国に立ち向かう新しくて公平な貿易政策を始める」と述べ、多国間協定ではなく、各国と個別に貿易政策を進めていく考えを示した。

 不法移民への対策としては、これまで何度も語ってきた米メキシコ国境沿いへの壁建設を主張し、「不法移民やギャング、暴力、麻薬の流入を防ぐ」と述べた。

 演説では、来週に民主党の候補指名を受けるヒラリー・クリントン前国務長官の批判にも多くの時間が割かれた。クリントン氏が私用のメールアドレスを公務に使っていた問題に対しては、「とんでもない犯罪に関与し、罪から逃れた」と主張。「11月にクリントン氏を打ち負かそう」と訴えると、会場から大きな拍手が上がった。また日本や韓国などを念頭に、「米国が防衛している国に相応の負担を求める」とし、米軍駐留経費の負担を増やす考えも改めて示した。

 さらに「米国を安全な国にする」ために、過激派組織「イスラム国」(IS)を倒すと明言。「米国がこれまでよりも大きく、より良く、強くなって戻ると全世界に示す」と強調した。

 オバマ大統領が進めた医療保険制度改革(オバマケア)については「廃止する」と主張し、「再び自身で医者を選択できるようにする」と述べた。

(クリーブランド(米オハイオ州)岩城喜之)