トランプ氏を正式指名
2016米大統領選
ライアン下院議長、結束訴え
米中西部オハイオ州クリーブランドで開かれている共和党大会は2日目の19日、実業家ドナルド・トランプ氏を大統領候補として正式に指名した。11月8日に投票が行われる本選は、民主党の候補指名が確実なヒラリー・クリントン前国務長官と争うことになる。
大会では州ごとに各候補の獲得代議員数を発表。トランプ氏は最終的に総数2472人のうち約7割となる1725人を獲得した。この結果を受け、ポール・ライアン下院議長がトランプ氏とインディアナ州のマイク・ペンス知事が正副大統領に正式指名されたことを宣言した。
トランプ氏はニューヨークからの中継で「指名を受けたことを大変誇りに思う。米国を再び偉大にする」と決意を語った。
演説に立ったライアン氏は、オバマ政権下で失政が続いたことを指摘。その上で、「クリントン氏はオバマ政権の3期目になる」とし、「(正副大統領が)トランプ、ペンス両氏の場合にのみ、より良い方向に進むチャンスがある」と強調した。トランプ氏が指名を確実にした後もすぐに支持を表明しなかったライアン氏だが、この日は「共和党で結束しよう」と述べ、トランプ支持で党内がまとまるよう訴えた。
また、副大統領候補に名前が挙がっていたニュージャージー州のクリス・クリスティー知事は「われわれにはクリントン氏を止め、ホワイトハウスに入らせない義務がある」と述べ、8年ぶりの政権奪還を訴えた。
トランプ氏は昨年6月の出馬表明後、過激な発言で物議を醸しながらも既成の政治に不満を抱く白人労働者層を中心に支持を集め、旋風を巻き起こしてきた。
一方、党主流派や保守派の中には不信感を持つ有権者も多く、知日派の重鎮、リチャード・アーミテージ元国務副長官やヘンリー・ポールソン元財務長官らがクリントン氏に投票する考えを示している。また、今回の党大会では初日に規約をめぐって混乱が起こるなど、今後は党内結束が課題になる。
(クリーブランド(米オハイオ州)岩城喜之)