米研究結果、同性愛家庭で育てられた子供に精神的悪影響

成人期のうつ症状2.6倍

 米国で発表された最新の研究結果で、同性愛者のカップルに育てられた人は一般の男女の親に育てられた人に比べ、大人になってうつ症状が見られる割合が2・6倍も高いことが分かった。昨年6月の連邦最高裁判決で同性婚が全50州で合法化された米国では、米心理学会など有力学術組織が同性愛家庭と一般家庭の子供に「差異は無い」と結論付けているが、実際には同性愛家庭は子供に精神的悪影響を及ぼす可能性が高いことを研究結果は示している。(ワシントン・早川俊行)

ポール・サリンズ教授

ポール・サリンズ教授

 アメリカ・カトリック大学のポール・サリンズ教授は、ノースカロライナ大学が統括する「全米青年期・成人期の健康に関する経年調査」のデータを利用し、同性愛家庭と一般家庭の子供の比較研究を試みた。青年期(平均年齢15歳)にうつ症状のある割合は、同性愛家庭の子供が18・3%で一般家庭の子供の21・8%より低かった。ところが、成人期(平均年齢28歳)にうつ症状のある同性愛家庭の子供は51・0%へと急激に上昇し、19・7%に減少した一般家庭の子供と比べ2・6倍も高かった。

 また、同性愛家庭の子供は一般家庭の子供に比べ、自分は死ななければならないと感じる「希死念慮」を抱く割合が青年期で3・2倍、成人期で4・2倍、両親または一方の親と距離を感じる割合は青年期で2・6倍、成人期で1・7倍それぞれ高かった。

 肥満の人はうつ病になる可能性が高いという研究結果があるが、同性愛家庭の子供は肥満傾向が強い。一般家庭の子供の場合、肥満の割合は青年期で13・8%、成人期で37・2%であるのに対し、同性愛家庭の子供は青年期で30・8%、成人期で71・9%と圧倒的に高かった。

 児童虐待を受けた経験も、同性愛家庭の子供の方が大幅に多い。平均年齢22歳の時期に行われた調査データに基づく比較では、自分が愛されていないと感じる傷つく言葉や身体的暴力、性的虐待など何らかの児童虐待を受けた経験がある同性愛家庭の子供は、一般家庭の子供の1・6倍だった。

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 サリンズ教授は本紙の取材に「この研究結果は、同性愛者の親に育てられた子供が抱える幾つかの問題は大人になるまで現れないことを示している。15歳の時点では同じように見えても、28歳までにうつ症状が出て、肥満になり、親から孤立する可能性が大幅に高い」と指摘した。

 米心理学会、米社会学会など有力学術組織は同性愛家庭と一般家庭の子供に「差異は無い」と結論付け、同性婚の合法化を積極的に支持してきた。だが、今回の研究結果は、米学会・メディアの間で主流となっている「差異は無い」という主張に対する新たな反証の一つといえる。

 サリンズ教授は、児童虐待の影響がある程度年を取るまで完全には現れないように、同性愛家庭の影響についても、子供の時点だけを見て「差異は無い」と断定するのは不十分であり、「大人になって影響がどう現れるかも見る必要がある」と主張。「同性カップルが温かく、思いやりのある、愛情深い人間であり、個人としては良い親であっても、その家庭にはいない父親または母親がもたらす感情的、心理的利益を子供に提供することはできない」と、同性愛家庭が抱える根本的問題点を指摘した。

 サリンズ教授はこれまでも、同性カップルに育てられる子供は男女の親に育てられる子供に比べ、情緒障害を抱える割合が2倍以上、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や学習障害、知的障害など発達障害を抱える割合も2倍近いことを示す研究結果を発表している。