米大統領「プーチン氏 侵攻決断」 数日内 首都キエフ攻撃も


ウクライナ情勢で警告

ウクライナ国境まで約50㌔のベラルーシの基地に集結するスホイ25攻撃機-14日、ルニネツ(マクサー・テクノロジーズ提供)(AFP時事)

 バイデン米大統領は18日、ホワイトハウスで記者会見し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の可能性について、「現時点でプーチン大統領は決断したと確信している」と述べた。攻撃は数日のうちに実施される可能性があり、ウクライナの首都キエフも攻撃対象に含まれると警告した。一方で、外交的解決の余地はまだ残されているとも強調した。

 これまでバイデン政権は、プーチン氏が軍事侵攻を決断したかについて分からないとしてきたが、バイデン氏はこの日、踏み込んだ発言をし、強い危機感を示した。プーチン氏が決断したと判断した理由については、「われわれには特別な情報収集能力がある」と述べるにとどめた。

 バイデン氏は、「ロシアが1週間か数日のうちにウクライナを攻撃しようとしていると信じるに足る理由がある。280万人の罪のない人たちが暮らす首都キエフが標的になると思う」と表明した。

 ウクライナ東部では、17日に起きた幼稚園への砲撃についてウクライナ政府と親ロシア武装勢力の双方が相手が攻撃したと非難し合うなど情報戦が活発化している。これについて、バイデン氏は、親露派が同国政府軍との停戦を定めた「ミンスク合意」に違反していると批判した。

 また、ロシアが幼稚園への砲撃がウクライナによるものであると偽って主張しているほか、ウクライナが東部ドンバス地区で大規模攻撃を計画しているなどと偽情報を流していると指摘。「ウクライナへの軍事行動を正当化するためであり、かつての手法と同じだ」と訴え、ウクライナ侵攻をするための口実作りを図っていると強調した。

 一方でバイデン氏は「ロシアはまだ外交の道を選択することができる」と述べ、プーチン氏が攻撃を開始する直前まで、外交による解決の道は残されているとも強調した。バイデン政権がロシアの計画を繰り返し指摘するのは、「紛争を望んでいるからではなく、ロシアがウクライナへ侵攻する理由を取り除くためだ」とも訴えた。

 侵攻がなければ、ブリンケン国務長官とラブロフ外相による米露外相会談が、24日に欧州で開かれると発表した。ただ、バイデン氏は、ロシアが同日より前に軍事行動を起こせば、 「彼らは戦争を選択したことになり、大きな代償を払うだろう。それは、米国と同盟国がロシアに科す制裁だけではなく、世界の他の国々による道徳的な怒りによるものだ」と牽制(けんせい)した。

(ワシントン・山崎洋介)