米首都で中絶反対デモ 合法判決の無効化求める


妊娠中絶反対を訴える「マーチ・フォー・ライフ」の参加者(山崎洋介撮影)

 米連邦最高裁が1973年に妊娠中絶を権利として認めた「ロー対ウェイド判決」を下してから49周年の前日に当たる21日、中絶に反対するデモ集会「マーチ・フォー・ライフ」が首都ワシントンで行われ、数万人が参加した。今年は最高裁でロー対ウェイド判決が覆される可能性があることから、中絶反対派は長年の悲願達成へ期待を高めている。

 集会でマーチ・フォー・ライフのジニー・マンシーニ代表は、「今年が歴史的な変化をもたらすことを願っている」と述べ、最高裁の判断に期待を示した。共和党のクリス・スミス下院議員は、今年が中絶問題に関する「転換点にある」と強調した。

 デモは、ロー対ウェイド判決が下された翌年から毎年実施されているが、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大のためバーチャル形式での開催となった。今回、参加者たちは氷点下の気温の中、「ロー対ウェイドは去るべき時だ」などと訴えながら、ワシントン記念塔周辺から最高裁まで練り歩いた。

 ニューヨーク州から来たカトリック教徒のアンジェラさんは「中絶は権利ではない。むしろ、生命を絶つことで胎児の人権を侵害する行為だ」として、ロー対ウェイド判決の無効化を求めた。

 最高裁は、妊娠15週を過ぎた場合に中絶を原則禁じる南部ミシシッピ州の法律の合憲性について6月までに判決を下す。その中で、胎児が子宮外で生育可能になる24週ごろまでの中絶を憲法が保障する権利として認めたロー対ウェイド判決を覆すかどうかが最大の焦点となっている。

(ワシントン 山崎洋介)