米大統領、トランプ氏を批判 議会乱入1年で演説


共和党「事件を政治利用」と反発

6日、ワシントンの連邦議会で演説するバイデン米大統領(EPA時事)

 バイデン米大統領は6日、トランプ前大統領の支持者による連邦議会乱入事件から1年を迎え、議会で演説した。議会乱入が米国の民主主義に対する攻撃だとし、トランプ氏を非難した。

 バイデン氏は「この連邦議事堂を襲撃した人々や扇動した人々は、米国の民主主義の喉元に短剣を突き付けた」と非難。トランプ氏を名指しはしなかったものの、演説の中で「前大統領」という言葉を16回用い、就任以来見せていなかった厳しいトーンで同氏への批判を繰り返した。

 バイデン氏は「前大統領は2020年大統領選についてのうそを作り出し、広めた」とした上で、「彼の傷ついたエゴは、われわれの民主主義や憲法よりも彼にとって重要なので、敗北を受け入れることができない」と主張。また「彼は前大統領というだけではない。敗北した前大統領だ」と訴えた。

 これに対し、トランプ氏は演説を受けた声明で、「私の名前を用いて米国をさらに分断させようとした」とバイデン氏を批判。また、「バイデン氏はひどかったアフガニスタン撤退や国境危機、新型コロナウイルス対策、インフレ、エネルギー自給の喪失などの失敗した仕事から話題をそらそうと必死だ」と反発した。

 トランプ氏は6日に予定していた記者会見を中止し、15日にアリゾナ州で開催する集会で、その内容を語る考えを示している。

 下院で行われた行事への共和党関係者の参加は少なく、トランプ氏を批判するリズ・チェイニー下院議員とその父親でブッシュ元大統領(子)の下で副大統領を務めたディック・チェイニー氏が参加した。

 一方、他の共和党議員はバイデン氏が乱入事件を政治利用しようとしていると非難。トランプ氏に近いグラム上院議員は、バイデン氏の演説について「失敗した大統領としての業績を取り戻すための試み」だとし、「バイデン政権は米国が直面している課題に対処できないようであり、1月6日を政治化する取り組みは失敗に終わるだろう」と語った。

(ワシントン 山崎洋介)