日米豪印首脳会議 宇宙・技術で対中連携強化

「海洋秩序への挑戦に対抗」
首脳会議、毎年開催へ 日米豪印

24日、米ホワイトハウスで開かれた日米豪印4カ国(クアッド)首脳会議(EPA時事)

24日、米ホワイトハウスで開かれた日米豪印4カ国(クアッド)首脳会議(EPA時事)

 日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国(通称クアッド)による初の対面での首脳会合が24日、ホワイトハウスで行われ、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、宇宙や先端技術分野での連携強化を進める方針を示したほか、「東・南シナ海を含め海洋秩序への挑戦に対抗する」ことも明記した。4カ国の首脳と外相の会合を毎年行うことでも合意した。

 会合には、菅義偉首相とバイデン米大統領、モリソン豪首相、モディ印首相が出席。共同声明で4カ国は、「自由で開かれたインド太平洋」に改めてコミットするとした上で、名指しを避けつつも中国を念頭に「国際法に根差し、自由で開かれたルールに基づく秩序を促進する」ことを確認した。

 中国が急速な開発を進める宇宙分野では、気候変動の監視や災害対応、海洋資源の持続可能な利用など平和目的に限って、衛星データを共有するとした。宇宙空間の利用に関するルールについても協議する方針を示した。

 また高速通信規格「5G」などの先端技術についての開発や利用の原則についての声明も発表し、技術は権威主義的な監視や抑圧、テロ目的などに悪用されるべきでないと訴えた。半導体などの戦略物資のサプライチェーン(供給網)の構築を進めるとし、中国依存の低減を図る狙いを示した。

 中国がインフラ投資を通じて途上国を政治的影響力下に置く「借金漬け外交」が問題視される中、4カ国は今後、定期的に会合を行い、地域のニーズに沿った「持続可能なインフラ開発を促進」することで合意した。教育分野では、米国で科学、技術、工学、数学の分野の研究を行う4カ国の学生を支援する奨学金制度の創設でも合意した。

 バイデン氏は首脳会議で、クアッドについて「この民主国家のグループは、世界観を共有し、未来に向けた共通のビジョンを持っており、気候変動や新型コロナウイルス、新興技術などの重要課題に取り組む」と述べた。菅首相は「基本的価値を共有する4カ国がインド太平洋地域に法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を実現するために協力する極めて重要な取り組みだ」とその意義を強調した。

(ワシントン・山崎洋介)