米報道 中国と米軍トップ秘密裏に連絡取る


トランプ氏「反逆罪」と批判

トランプ米大統領(左、当時)とミリー米統合参謀本部議長=2019年10月、ワシントン(AFP時 事)

 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が昨年10月と今年1月、当時のトランプ前大統領が中国に対して戦争を仕掛けると懸念し、中国軍側と秘密裏に連絡を取り、攻撃を行う際は事前に連絡すると伝えていたことが明らかになった。著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏らが来週出版するトランプ政権末期の内幕本「Peril(差し迫った危機)」の内容として、米紙ワシントン・ポストなどが報じた。

 報道によると、ミリー氏は、大統領選直前の昨年10月30日、中国共産党中央軍事委員会の李作成・統合参謀部参謀長との電話で、「米政府は安定していて、すべてが正常になることを保証したい」と伝えた。その上で、「もし攻撃することになれば、事前にあなたに電話する。奇襲攻撃にはならない」と約束した。

 ミリー氏はまたトランプ氏支持者による連邦議事堂襲撃事件の2日後の1月8日にも、トランプ氏の暴走を懸念する李氏に対し、電話で「われわれは100%安定している」と語った。

 ミリー氏はさらに、中国を刺激することを懸念しインド太平洋軍に対し軍事演習の延期を勧告したという。

 トランプ氏は報道を受け、声明で「もしこれが事実なら、彼は大統領の意に反して中国側と取引し、彼らに『攻撃』の通知を与えると言った点で反逆罪で訴追されるべきだ」とミリー氏を批判。また「念のため言っておくが、私は中国を攻撃しようと考えたことすらない」とも強調した。

 また共和党のルビオ上院議員は、バイデン大統領への書簡で、「シビリアンコントロールを阻害する軍幹部は全く容認できないだけでなく、最悪の場合、戦争につながり得る曖昧さを生み出す」として、報道が事実だった場合、ミリー氏は辞任すべきだとした。

(ワシントン・山崎洋介)