米、ウイグル取引で警告 企業に「国法違反のリスク」


 バイデン米政権は13日、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害をめぐり、同自治区でのサプライチェーン(供給網)に関わる企業に対し、「米国の法律に違反する高いリスク」があると警告する文書を発表した。ウイグル人らへの監視技術に使われる機器の提供など「間接的な取引」も含め、厳しく対応する方針を示した。

人権侵害指摘

 文書は、国務省や財務省、商務省など5省庁と米通商代表部(USTR)が合同で発表した。昨年7月にトランプ政権が出した警告を更新し、人権侵害に関わる中国企業との直接取引に加え、ウイグル人らに対する「拡大する監視ネットワーク」に使われる機器の提供など「間接的な取引」を含めて米国法に違反するリスクがあると指摘した。

 文書では「中国は引き続きジェノサイド(集団虐殺)と人道に対する罪を犯している」と明記し、同自治区で強制労働が行われているとの証拠も増えていると指摘。企業などに対して「ウイグル人、カザフ人、キルギス人などの少数民族への中国政府による強制労働を含む残虐行為に注意する必要がある」と訴えた。

 ブリンケン国務長官は当日発表した声明で、「これらの中国企業が同自治区や中国全体で強制労働などの人権侵害に加担していることを考慮すると、新疆にサプライチェーンを持つなどの関わりを持つ企業のリスクが高まっている」として、取引をやめるよう促した。

 トランプ政権下の今年1月には、「ユニクロ」のシャツに同自治区で生産された綿製品が使用されている可能性があるとして米国への輸入が止められた。バイデン政権も前政権に引き続き同自治区での人権問題について圧力をかけており、日本企業もより一層の対応を求められることになる。

(ワシントン・山崎洋介)