ファウチ氏が武漢研究所支援 新型コロナで議会調査要求


ナバロ前米大統領補佐官
米紙ワシントン・タイムズ紙に寄稿

ピーター・ナバロ前米大統領補佐官

ピーター・ナバロ前米大統領補佐官

 ピーター・ナバロ前米大統領補佐官は、14日付の米紙ワシントン・タイムズに寄稿し、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が、新型コロナウイルスの発生源であることが疑われる中国の武漢ウイルス研究所(WIV)に対し危険性が高い研究を支援したと批判した。一連の経緯について米議会に調査を求めた。
(ワシントン・山崎洋介)

 ナバロ氏は「ファウチ博士は『パンデミックの父か?』」と題した寄稿で、ファウチ氏がトランプ政権時代の2017年、ホワイトハウスに十分な報告をせずに、WIVにおける「機能獲得研究」への助成を承認したと指摘した。同研究は、ウイルスの遺伝子を操作しその変異を調べるものだが、強化された病原体が実験室から外部に漏出する危険性を伴うことから、オバマ元政権は14年に、資金提供の一時停止を決めていた。

米国立アレルギー感染研究所のファウチ所長=1月21日、ワシントン(AFP時事)

米国立アレルギー感染研究所のファウチ所長=1月21日、ワシントン(AFP時事)

 ナバロ氏によると、ファウチ氏の所属する国立衛生研究所(NIH)から、ピーター・ダザック氏を通して約700万㌦の資金がWIVに注ぎ込まれた。米国の非営利組織「エコヘルス・アライアンス」の代表を務めるダザック氏は、新型コロナの起源を調べる世界保健機関(WHO)調査団で米国唯一のメンバーだったが、WIVとの長期的な結び付きから、「利益相反」関係との指摘を受けていた。

 ナバロ氏はまた、新型コロナがSARSウイルスなど他の多くのウイルスと異なり、高い割合の無症状感染者を出しているとし、「兵器化されたウイルスの可能性を示している」とも主張。国務省が1月に発表した報告書は、遅くとも17年には、WIVで中国人民解放軍の資金提供による極秘の研究が行われていたとしているが、それとNIHが支援を承認した時期が一致していることも強調した。

 ナバロ氏はさらに、ウイルス学者が何千もの動物を調査したが、新型コロナの「直接の祖先」は発見されなかったと指摘。また研究所からウイルスが漏洩(ろうえい)した事例は数多くあるとして、「WIVからの新型コロナの偶発的な流出は十分理にかなっている」とも訴えた。