中国・ウイグル問題「最優先」
バイデン米政権の通商政策、環境対策で輸入品課税も
米通商代表部(USTR)は1日、バイデン政権の通商政策の方針を示す報告書を議会に提出し、新疆ウイグル自治区で行われているウイグル族に対する強制労働への対応を「最優先項目」として取り組む考えを示した。また、環境対策が不十分な国からの輸入品に課税する「炭素国境調整」措置を検討するとした。
報告書は、新疆ウイグル自治区における「少数民族や宗教的少数派を標的とする中国政府の強制労働プログラムの広範な人権侵害に対処すること」を最優先項目と位置付けた。同盟国とともに「強制労働に対抗し、加担した企業の説明責任を強化するためにあらゆる選択肢を検討する」と強調した。
トランプ前政権は1月に中国の新疆ウイグル自治区からの綿製品とトマト製品の輸入禁止を決めたが、バイデン政権も強制労働の問題に対し引き続き圧力をかける立場を示した。
バイデン政権が外交や国家安全保障の中心的な課題と位置付ける気候変動問題への対応も重視し、温室効果ガス削減のため同盟国と協力し規制強化を図る考えを強調。最大の温室効果ガス排出国である中国などを念頭に、バイデン大統領が公約で掲げてきた「炭素国境調整も検討する」とした。
また、中国による知的財産の侵害などの不公正な貿易慣行が「米国の労働者に害を及ぼし、技術的優位性を脅かしている」と指摘。その上で「利用可能なすべてのツールを用いて、取り組む」として、中国側に対応を求める考えを示した。
また、バイデン政権は、同盟国と協力し、「中国政府が主因となっている過剰生産によって引き起こされる市場の歪(ゆが)みに対処する」とし、鉄鋼・アルミニウム、光ファイバー、太陽光などの分野で、同盟国と協力し、是正を図るとした。