米最高裁判事にバレット氏、大統領発表
カトリックの保守派女性
トランプ米大統領は26日、連邦最高裁判所の判事に保守派のエイミー・バレット連邦高裁判事(48)を指名すると発表した。リベラル派のギンズバーグ判事が死去したことを受けた人事で、11月に大統領選が迫る中、上院でバレット氏の承認をめぐり与野党が議論を戦わせることになる。
上院の承認を経て就任すれば最高裁の判事9人のうち6人を保守派が占めることになる。最高裁判事は終身制のため、長期にわたって保守派の優位が続く見通しとなる。
トランプ氏は、「今日、米国で最も優れた才能を持つ法律家の1人を最高裁判所に指名できたことを光栄に思う」とバレット氏を称賛。さらに「憲法に対して揺るぎない忠誠心を抱いている」と強調した。
バレット氏は、ギンズバーグ氏について女性の社会進出を阻む「ガラスの天井を突き破っただけでなく、粉砕した」と称(たた)えた。一方、「短期的にも長期的にも、自分の前の道が楽になるという幻想はない」とも述べ、今後、民主党やリベラル派から強い反発が予想されることを示唆した。
共和党は11月3日の大統領選前に上院でバレット氏の指名承認を行う方針。米メディアによると10月中旬から審議を開始し、同月中に本会議で採決を行う予定となっている。
敬虔(けいけん)なカトリック教徒のバレット氏は、医療保険制度改革法(オバマケア)や人工妊娠中絶には反対の立場。最高裁では11月10日からオバマケアについて審理を開始する予定で、民主党側はバレット氏が判事に加わることで廃止の可能性が高まるとして、反発を強めている。
また、郵便投票の急増などによって大統領選の結果判明が遅れた場合、2000年大統領選のように最高裁に判断が委ねられる可能性もあり、バレット氏が就任すればトランプ氏に有利に働くとの見方もある。
民主党の大統領候補であるバイデン前副大統領は声明で、バレット氏の指名について「上院は米国人が次の大統領と議員を選ぶまで行動するべきでない」と述べ、11月の大統領・議会選前に審議を進めることを批判した。
(ワシントン 山崎洋介)