対中包囲へ連携強化

米豪2プラス2 南シナ海主張を非難

 米国とオーストラリアの外交・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が28日、ワシントンの国務省で行われた。両国は、南シナ海における中国の領有権主張は「国際法の下、無効」だと非難。米国が民主主義国家による対中包囲網の構築を呼び掛ける中、対中批判で両国が足並みを揃(そろ)えた形だ。
(ワシントン・山崎洋介)

オーストラリアのペイン外相(左)と面会したポンペオ米国務長官=27日、ワシントン(AFP時事)

オーストラリアのペイン外相(左)と面会したポンペオ米国務長官=27日、ワシントン(AFP時事)

 米豪の共同声明で中国政府による香港の自治侵害やイスラム教徒の少数派ウイグル族弾圧に対して「深刻な懸念」を表明。また、台湾の「インド太平洋地域における重要な役割」を再確認し、国際機関への加盟やオブザーバー参加を支援するとした。

 このほか、中国やロシアを念頭に「国家主導の悪意ある偽情報工作や民主的手続きへの介入」に対抗するため、両国で作業グループを設置することに合意した。

 協議は新型コロナウイルス禍の中、あえて対面形式で実施された。ポンぺオ氏が先週の演説で強権姿勢を強める中国に対抗するため「民主主義国家による新たな同盟」を呼び掛ける中、豪州との連携強化を印象付けた。

 ポンぺオ米国務長官は共同記者会見で米豪両国は「新型コロナウイルス感染拡大という差し迫った危機と、中国共産党の野望による長期的な課題に直面している」と指摘。その上で「中国共産党からの強い圧力を継続的に受けているにもかかわらず、民主主義の価値と法の支配を守った」と豪政府の対中姿勢を称賛した。

 ペイン豪外相は、「われわれは共通の価値観に基づいて行動している」と強調。「中国との関係を損なうつもりはないが、われわれの利益に反することをするつもりはない」と述べ、対中関係を重視しつつも原則は曲げない立場を示した。