米政権 香港への優遇見直し
防衛輸出制限 中国本土並みに
トランプ米政権は29日、中国が香港の統制を強化する「国家安全維持法」への対抗措置として、香港への優遇措置を一部停止すると発表した。香港への防衛機器の輸出を停止し、軍民両用技術の輸出を中国本土並みに規制する措置を講じるとし、中国の動きを強く牽制(けんせい)した。
(ワシントン・山崎洋介)
トランプ大統領は5月下旬、中国が国家安全維持法を導入したことを受け、米国が香港に認めてきた優遇措置の廃止に向けた手続きに入ると発表していた。この中で、軍民両用技術への輸出規制などを検討するとしていた。
今回の措置は、先週発動を発表した香港の自治侵害に関与した中国共産党員らへのビザ(査証)制限に続くもので、トランプ政権は対中圧力を強めている。
ポンぺオ国務長官は声明で、中国が香港を「一国一制度」として扱っており、香港と中国本土への輸出を区別できなくなったと非難。米国の技術が中国軍に流出するリスクを指摘し、「米国の国家安全保障のため今回の措置を取ることを余儀なくされた」と優遇見直しの理由を説明した。
ポンぺオ氏はまた「米国は他の当局と検証を進めており、香港の現実を反映した追加の措置を講じる」とも強調。ロス商務長官も声明で「優遇措置を取り除くための追加措置が検証されている」と述べた。
今後、香港に対し優遇してきた関税を中国本土並みに引き上げることや、香港ドルと米ドルの自由な通貨交換を停止するなどの強い措置に米国が踏み切るかが焦点となる。
米議会も中国への反発を強めている。上院は6月25日、香港の自治侵害に関わった中国当局者に対し資産凍結や制裁者と取引した金融機関に二次制裁を科す「香港自治法案」を全会一致で可決した。