抗議デモ 全米140都市に拡大-黒人拘束死
トランプ大統領「背後に極左集団」
一部暴徒化し略奪・放火
米中部ミネソタ州で黒人男性が白人警官から首を圧迫され死亡した事件に端を発する抗議デモは5月31日、全米各地で続き、暴徒化した一部の参加者による店舗の略奪や放火が続いた。米メディアによると、抗議デモはこれまで少なくとも140の都市に広がり、20の州や首都ワシントンに州兵約5000人が動員された。
暴徒化した参加者は、各地の店舗や州庁舎などを破壊したり、警察車両を放火したりした。また、店舗から人々が商品を持ち去る様子がテレビで放映されるなど、略奪も横行した。
ワシントンでは、ホワイトハウス近くの建物や教会などが一時炎上。ホワイトハウスの周りに設置されたバリケードに侵入しようとする抗議者を警官が何度も押し戻したと伝えられた。
警察官はゴム弾や催涙ガスを使用するなどして対応。AP通信によると、週末に米都市で4000人以上が逮捕された。
トランプ大統領はツイッターで、「民主党の州知事や市長は、もっと厳しく対処すべきだ。彼ら(暴徒化したデモ隊は)無政府主義者だ」と主張。さらに極左集団「アンティファ」が暴動の背後にいるとして、「テロ組織に指定する」と宣言した。
バー司法長官も声明で「アンティファや類似集団によって扇動された暴力は国内テロ行為であり、適切に対処する」と同調。「暴力に立ち向かい、止めるべき時だ」と強調した。
ワシントンのバウザー市長は31日、デモ拡大を受けて夜間外出禁止令を出した。このほか、ミネアポリスやロサンゼルスなど40都市以上で夜間禁止令が出されている。米メディアは、これだけ多くの都市が同時に外出禁止令を出すのは、公民権運動を率いたマーティン・ルーサー・キング牧師が1968年に暗殺されて以来の事態だと伝えている。
(ワシントン 山崎洋介)






