ノキアとエリクソンに投資検討を、5Gめぐり米司法長官
ファーウェイの市場支配に対抗
バー米司法長官は6日、米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、次世代通信規格「5G」の市場シェアを拡大する中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)に対抗するため、米国や同盟国は競合大手のフィンランドのノキアとスウェーデンのエリクソンの経営権取得を検討すべきだと述べた。
5G網の整備をめぐって、米国は機密情報が盗まれるなどの安全保障上の懸念から同盟国にファーウェイ製品の排除を求めてきた。
しかし、英国が先月下旬、ファーウェイによる5G網への参入を一部容認することを決めるなど、包囲網にほころびが見られる。
こうした中、バー氏は、5G網の整備で「中国企業は世界のインフラ市場の支配を強め、40%を抑えている。米国は史上初めて、新世代の技術でリードを許している」と危機感を表明した。
さらに、各国が中国の5G技術に依存すれば「中国は国の通信を遮断する能力を持つことになる。そうなれば、現行の米国による経済制裁が見劣りするほど、前例のない経済的な力を手にすることになる」と強い警戒感を示した。
その上で、エリクソンとノキアは「ファーウェイのような規模や中国のような大きな市場を持つ国からの支援も受けていない」と指摘。
「米国が経営権を直接もしくは米国や同盟国の民間企業の共同事業体を通じて取得」することを検討すべきだと主張した。
バー氏は、中国は「あらゆる手段を使って」5Gの市場シェアを世界的に拡大していると指摘。今後5年間で競争が決着するとして、「我々や同盟国は迅速に行動すべきだ」と訴えた。
CSISの会合では、バー氏のほか、レイ連邦捜査局(FBI)長官ら同省幹部らが出席し、中国による米企業や大学へのスパイ活動や知的財産の窃盗に警戒するよう呼び掛けた。
レイ氏は、FBIが現在、中国による技術の窃盗に関して約1000件の捜査を実施中だと発表。中国政府は、経済・技術の分野で米国を凌駕(りょうが)しようとしているが、「正当なイノベーションや公正で合法な競争によってではなく、われわれの技術を盗むことで」実現しようとしていると非難した。
(ワシントン 山崎洋介)