米大統領弾劾裁判の審理始まる
証人招致めぐり攻防
トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる上院の弾劾裁判の本格審理が21日、始まった。トランプ氏や与党共和党が早期終結を図る一方、野党民主党は鍵を握るとされるボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らの証人招致を求めている。11月の大統領選をにらみ、与野党が主張を戦わせる。
審理では、共和党トップのマコネル院内総務が21日に提出した弾劾裁判の運営規則を翌日未明に可決した。当初は検察役の下院議員と大統領の弁護団がそれぞれ2日間の冒頭陳述が認められていたが、共和党内からも反対があり、3日間に修正された。その後、追加の証人招致や証拠の提出について採決される見通し。
疑惑について知る立場にあったボルトン氏らの証人招致が実現するかが焦点。証人を呼ぶには、共和党から4人が賛成に回る必要があるため、民主党は立場を明確にしていない共和党穏健派の切り崩しを図っている。
審理では、下院司法委員会のナドラー委員長が「ボルトン氏はトランプ大統領の権力乱用の直接の証人だ」と指摘。ボルトン氏の証人招致に反対すれば、「隠蔽(いんぺい)」に加担することになると共和党議員を牽制(けんせい)した。
これに対し、ホワイトハウスの弁護士であるシッポローネ氏は、ナドラー氏の主張について「偽りの申し立て」だと反論。「ナドラー氏こそ恥ずべきだ」と述べるなど、厳しい応酬が繰り広げられた。
弾劾裁判では、出席議員の3分の2以上がトランプ氏の「有罪」に賛成すれば罷免されることになる。ただ、上院は共和党が多数派を占めるため、否決される可能性が高い。
(ワシントン 山崎洋介)