米は中東に3500人増派、イラン司令官殺害で情勢緊迫


 米国防総省当局者は3日、中東地域に約3500人の部隊を増派する方針を明らかにした。複数の米メディアが報じた。米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことを受け、イランによる報復攻撃に備える狙いがある。

トランプ米大統領

3日、米フロリダ州パームビーチで、イラン問題について発言するトランプ米大統領(AFP時事)

 トランプ大統領は3日、滞在先のフロリダ州でソレイマニ司令官について、「米外交官や米軍に対する差し迫った悪意ある攻撃を企てていた」と指摘。「われわれは戦争を起こすためではなく、防ぐために行動をした」と強調した。

 また、これまでソレイマニ司令官の指揮の下で数百人の米国人が負傷、殺害されてきたとして、同司令官の殺害は「もっと早く行われるべきだった」と主張。一方、「イランの体制転換は求めていない」と述べた。

 米政府は昨年12月末、イラクの首都バグダッドにある米大使館前での大規模デモを受け、中東地域に約750人の増派を発表したばかり。今回の殺害を受け、イランも報復攻撃を警告しており、中東情勢は緊張が高まっている。

 ポンぺオ国務長官は3日、英国、フランス、ロシアなどの外相のほか、サウジアラビアのムハンマド皇太子、中国の楊潔●共産党政治局員らと相次ぎ電話で会談し、司令官殺害について説明した。ポンぺオ氏はまた同日のテレビ番組でのインタビューでイランからの「差し迫った攻撃」を防ぐために殺害を行ったと説明。「イラン指導部は、トランプ大統領が行動を起こすことを理解したと思う。こうした対応が迅速かつ決定的であることを非常に明確にした」とイランを牽制(けんせい)した。

 一方、イランのラバンチ国連大使は3日、CNNテレビとのインタビューで司令官殺害について「戦争行為だ」と主張。「軍事行動に対する対応は軍事行動だ」と述べ、軍事的報復を警告した。

(ワシントン 山崎洋介)

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