米で香港人権法案、議会通過


トランプ氏の署名焦点に

 米下院は20日、香港の人権と民主主義の擁護を目的とする「香港人権・民主主義法案」が賛成417反対1で可決した。上院では前日、同じ法案が成立しており、トランプ大統領が署名すれば成立する。

香港のデモ隊

米議会での「香港人権・民主主義法案」可決を訴え、米総領事館に向かう香港のデモ隊=香港、9月8日(EPA時事)

 法案は、中国政府が香港の自治を保証する「一国二制度」を守っているかを国務省などが毎年評価するよう義務付ける。また、人権侵害に関わった中国政府関係者に大統領が制裁を科すことを可能にする。

 今後、トランプ氏が署名するか拒否権を行使するかが焦点となる。トランプ氏は法案への立場を明らかにしていないが、複数のメディアはトランプ氏が法案に署名する見通しだと伝えている。

 下院はまた、上院で前日可決された、香港警察に催涙弾やゴム弾の輸出を禁じる法案も全会一致で可決した。

 民主党のペロシ下院議長は、法案審議の中で「米国が香港の自由を愛する人々と連帯しているという明確なメッセージを世界に送った。われわれは彼らの自由のための戦いを全面的に支持する」と訴え、中国の介入を牽制(けんせい)した。

 法案を主導した共和党のルビオ上院議員は「ペロシ議長が迅速な措置を講じたことを称賛する」と評価。その上で「この重要な法案にできるだけ早く署名するよう大統領に要請する」と強調した。

 法案をめぐって中国は報復措置についても言及するなど強く反発している。トランプ氏は中国との貿易交渉で「第一段階」の合意を目指すが、法案が成立すれば、今後の協議の行方にも影響を与えるとみられる。

(ワシントン 山崎洋介)