米国務長官、イスラエル入植地容認
中東政策を転換
ポンぺオ米国務長官は18日、記者会見し、イスラエルが占領するヨルダン川西岸のユダヤ人入植地は「国際法に違反しない」と述べ、従来の政策を転換し、事実上容認する考えを示した。入植活動に強く反発してきたパレスチナ側はこの発言について「国際法を損ない、弱肉強食の法則に置き換えるものだ」と批判。イスラエルとパレスチナの和平はさらに遠のく可能性がある。
2020年大統領選に向け、トランプ大統領の支持基盤であり、親イスラエルのキリスト教福音派に対する配慮があったとみられる。これまでもトランプ氏は在イスラエル米大使館のエルサレム移転や占領地ゴラン高原のイスラエルの主権を認めるなど、イスラエル寄りの政策を推進してきた。
また、イスラエル国内で連立政権を樹立できずにいることに加え、汚職疑惑などで苦境に立つネタニヤフ首相を後押しする狙いもあるとみられる。
ポンぺオ氏は会見で今回の判断の理由について「現地における実情を認めたものだ」と説明。さらに、これまでの方針では「和平は推進しなかった」とも主張した。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸を占領。その後も国際社会からの批判を受けながらも、入植活動を推し進め、今では約40万人が住む。
米国は1978年のカーター政権で「入植は国際法に反する」とする見解を示した。その後も入植の拡大が和平交渉の障害になっているとの立場を取り、オバマ前政権もイスラエルに入植の凍結を求めた。
(ワシントン 山崎洋介)