ブラジルのルラ元大統領釈放


 ブラジル左派を代表する存在で、収賄と資金洗浄などの罪で昨年4月から収監されていたルラ・ダシルバ(74)元大統領が8日、釈放された。釈放は、最高裁が7日に下した収監制度に関する新判決を受けたもの。

ルラ元大統領

8日、ブラジル南部パラナ州クリチバで、釈放後に演説するルラ元大統領(AFP時事)

 約1年7カ月ぶりに釈放されたルラ氏は、集まった多くの支持者から熱狂的に迎えられると、拳を振り上げながら支持者らの声援に応えた。

 ルラ氏は、在任時(2003~10年)に国内大手のゼネコンから、受注の見返りとしてサンパウロ市郊外のマンションなどを受け取ったとして、昨年1月の二審で禁錮12年1月の有罪判決を受け、その後収監命令が出された。

 ルラ氏の弁護団は、収監後も最高裁に上告して刑期の減刑などを勝ち取っていたが、さらに判決確定前に収監されるべきではないと訴えていた。ブラジルの司法制度は四審まであるが、これまでは二審で有罪判決を受けた場合は収監されていた。ところが、最高裁は7日、裁判が続いている限り、判決確定前の収監は認められないとの新たな判断を下した。これにより、影響を受ける囚人は数千人に及ぶとされている。

(サンパウロ綾村悟)