エジプト 大統領任期延長へ
現職シシ氏 最長2030年まで
エジプト国会は16日、大統領の任期を現在の4年から6年に変更する憲法改正案を、採決に臨んだ議員554人のうち、賛成531、反対22、棄権1の圧倒的多数で可決した。国営紙アルアハラムによると、国民投票が今月22日から24日に行われる予定で、過半数の賛成を得て成立する見通し。
現職のシシ大統領は、14年に初当選し、18年に再選されたことから任期は22年までだったが、今回の改憲により、現行の任期を24年まで延長した上で、現在を1期目とし、2期目までの任期を全うすれば在職期間は30年までの長期政権が可能となる。
シシ大統領による長期独裁を警戒する野党、「エジプト社会民主党」、「エジプト社会党」、「改革と発展党」、「ポピュリスト社会同盟」「ドストール(憲法)党」、「カラ-マ(尊厳)党」、「エジプト民主党」などは反対を表明、国民に反対票を投じるよう呼び掛けている。
ただ、2011年以降の「アラブの春」を経験した国民の大多数は、全世界のイスラム化を掲げるイスラム主義団体「ムスリム同胞団」がその組織力を動員、若者による民主化運動を利用して自身の政権を樹立、イスラム化と国内経済の混乱、治安の悪化を招いたことから、国民は多くの社会不安に直面していた。
シシ政権下では、物価の上昇による生活不安は増大傾向にあるものの、治安の安定を最優先した政策の下、全世界からの観光客が戻るなどしており、国民は概ね現政権を支持している。
(カイロ 鈴木眞吉)