東西分裂のリビア、大規模衝突の懸念も
東部の軍事組織が首都へ進軍
東西に国家が分裂している北アフリカのリビアで4日、東部トブロクを拠点とする軍事組織「リビア国民軍」(LNA)を率いる元国軍将校ハリファ・ハフタル氏が、首都トリポリへの進軍を命じた。カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは5日、LNAの軍用車両が大挙して西部に向かう様子を放映。LNAは既に、トリポリ郊外の都市を制圧し、散発的な衝突で負傷者が出たとの情報もある。トリポリには、国際的な承認を受けている統一政府の拠点があり、ファイズ・シラージュ暫定首相は、統一政府軍に「最大限の警戒態勢」を指示、「すべての脅威に立ち向かう」準備を命じており、大規模な軍事衝突に発展する懸念が高まっている。
2011年、長期独裁政権打倒と民主政権樹立を目指した「アラブの春」運動がリビアにも波及し、当時のカダフィ政権が打倒された。一時、世俗政権が樹立されたものの、ムスリム同胞団などのイスラム主義勢力が世俗政権を東部地方に追放、首都にイスラム主義政権を樹立した。
紆余曲折を経て国連主導の統一政府が樹立されたものの、最初に国際社会の支持を得ていた世俗政権はこれに反発、ハフタル氏の支持を受けながら、体制固めを行っていた。ハフタル氏は、ウェブサイト上で「ついにこの時が来た」との音声メッセージを発表し、満を持して挙兵したことを宣言した。これに対し、アントニオ・グテレス国連事務総長は、大規模な衝突を避けるよう警告した。
(カイロ 鈴木眞吉)