9年ぶりのレバノン総選挙
ヒズボラ過半数確保か
レバノンで6日、9年ぶりに行われた国民議会(一院制、定数128)選挙で、イランが支援するイスラム教シーア派組織ヒズボラ(神の党)が過半数議席を獲得する見通しだ。複数のメディアが7日、報じた。
レバノンでは、シリア内戦への対応をめぐり、イスラム教スンニ派の盟主を自認するサウジアラビアが支援するスンニ派勢力の代表であるハリリ首相らと、イランが後押しするヒズボラが対立しており、どちらが議会で優勢になるか注目が集まっていた。
ヒズボラは、民兵組織でありながら、レバノン国軍をしのぐ軍事力を有し、武力を背景にレバノン政界に隠然たる影響力を行使、同国の民主主義を根底から破壊する勢力として国内外から批判されている。
ヒズボラの躍進が現実化したことにより、民兵の武力を背景にレバノンの民主主義が危機的状況に追いやられる恐れがある。また、イランの影響力がアラブ世界に更に浸透することは必至だ。
さらに、イランとヒズボラを敵視するイスラエルやサウジアラビア、米国を巻き込んだ緊張が今後、高まる可能性がある。
「宗教宗派のモザイク国家」と称されるレバノンでは、1975年から90年まで続いた長期内戦の経験から、各派の共存を図るため国民議会の議席配分を宗教・宗派ごとに決めている。首相はイスラム教スンニ派から選出することから、ハリリ首相の続投が有力視されているものの、今回の選挙の敗北で首相に再選するかは不透明だ。
(カイロ鈴木眞吉)