イスラエル、ハマスとの衝突が激化
イスラエル軍は18日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム根本主義組織ハマスのテロ活動拠点など18カ所を攻撃したと発表した。イスラエル軍は、民間人を狙ったテロ活動への報復と発表、ガザをめぐってイスラエルとハマスとの衝突が激化している。(エルサレム・森田貴裕)
ガザ地区に大規模空爆
「ロケット弾攻撃に報復」と発表
17日、ガザからイスラエル領内に向けてロケット弾が発射され、1発がガザ近郊のシャハルネゲブ地域の住宅を直撃した。屋根が損傷したものの、不発弾だったため住民に被害は及ばなかった。
シャハルネゲブ地域の長であるアロン・シュスター氏は、「イスラエル側もガザ側も危険にさらされている。両政府は一刻も早く状況を収めて、市民の安全を確保してほしい」とメディアのインタビューで述べた。
ガザ近郊のイスラエルの町では、空襲警報が鳴り響き、住民らはその日、3度も防空シェルターに駆け込む事態となった。
「2週間前に自宅近くでロケット弾の爆発を経験した。イスラエルの空爆の音も激しく響き、就寝中に子供が、雷の音さえもロケット攻撃だと思い飛び起きて、シェルターに移動しようとした」。ガザ近郊のナハルオズに住むイスラエル人女性のヌリット・ヒルシュフェルさんは電話での取材に対し、緊迫した状況下にあることを語った。
ガザ地区との境界沿いでは17日、パトロール中のイスラエル軍部隊が、境界フェンスに不審なパレスチナ旗を見つけ近づいたところ、爆弾が爆発。現場のすぐそばでは、ガザ地区からイスラエル領内に続く2本の地下トンネルが発見された。イスラエル軍によると、この爆発で4人の兵士が重軽傷を負った。
イスラエルのメディアは、2014年のハマスとイスラエルとの紛争以来、ガザ境界で発生した最悪の事件として報じた。
人民抵抗委員会(PRC)は、声明で「敵のガザ侵入に対する英雄的行為だ」と発表。また、パレスチナのイスラム過激派組織イスラム聖戦は、「戦いの準備はできた。われわれはイスラエルによる継続的なガザの封鎖と侵略に怒りを表す」との声明を発表した。
ガザ地区でイスラエル人を狙った数々のテロ攻撃を実行してきたPRCは、2000年9月の第2次インティファーダ(民衆蜂起)時に設立されたパレスチナ人武装組織で、現在はハマスの傘下にあるとされている。
トランプ米政権で中東和平を担当するグリーンブラット外交交渉特別代表によると、ハマスはイスラエルを攻撃するための武器や地下トンネルなどの資金として、イランから年間100万㌦(約1億1000万円)の支援金を受け取っているという。
ドイツのミュンヘンで開催された安全保障会議に出席したイスラエルのネタニヤフ首相は、兵士4人が負傷した爆発事件を受け、「ガザ境界の事件は深刻だ。われわれは、しかるべき対応を取る」と報復の意向を明確にしていた。
イスラエル軍は事件から数時間後、ガザ地区の全域で、ハマス関連の軍事拠点6カ所を標的として空爆による大規模攻撃を開始。攻撃目標には、ガザからイスラエル領内へ通じる地下トンネルと軍事施設も含まれていた。
その後さらに、ガザ地区全域で大規模な報復攻撃を開始。イスラエル空軍機が、ハマスの武器製造工場、武器倉庫、テロリスト訓練施設など軍事施設18カ所を次々と空爆した。
イスラエルとハマスは08年以来、3回の紛争を戦ってきた。ここ数年、ガザ境界地域は概して静かだったが、昨年12月のトランプ大統領のエルサレム首都認定以降、攻撃の応酬が増加している。











