エジプト・ギザにある世界最大のピラミッド…


 エジプト・ギザにある世界最大のピラミッドを宇宙から降り注ぐ宇宙線で透視したところ、長さ30㍍以上に及ぶ未知の大空間が見つかった――名古屋大と高エネルギー加速器研究機構などが参加する国際共同研究チームが発表した。

 これに対し、エジプトの考古学者らが「新発見ではない」と批判。米紙ニューヨーク・タイムズも「研究グループは、ファラオ(王)の財宝に満たされた隠し部屋を見つけたわけではなさそうだ」とする考古学者らの見解を紹介した。

 もっとも、大空間発見の当事者の一人、名大の森島邦博特任助教は「ピラミッド調査の歴史上、最大規模の空間の発見だ。もし遺物が残っていれば、当時の状態を留(とど)めたものがあるはずで、すごい発見につながる可能性がある」と話しており、考古学者らがいう財宝云々(うんぬん)には踏み込んでいない。

 しかし、その後「(発見されたとする)大空間は既に知られたものだった」というエジプトの学者も出てきた。論争はいかなる結末を見るか興味津々だ。

 以前、放射性同位体である炭素14の存在比率から年代を測定する方法が発見された時も、科学者と考古学者がそれぞれ主張する地層の生成時期が違い、確執の生じたことがあった。論争の続いているケースもある。

 今日、テクノロジーが著しく発展し、従来の学問の各領域を超えて研究することが可能になった。何が真実かを見極める眼力と広い視野が専門家にも必要だ。