イスラエルで国際テロ対策会議
イスラエルの研究機関、国際テロ対策研究所(ICT)の国際会議が同国ヘルツェリアで開催された。世界60カ国以上から安全保障の専門家、イスラエルの政治家および治安機関関係者ら1000人以上が集まり、テロの進化の本質とその対処方法について議論した。(エルサレム・森田貴裕)
最大の脅威はイラン
ハマスやヒズボラを支援
問題は過激なイスラム勢力
イスラエル紙エルサレム・ポスト(電子版)などによると、イスラエルの安全保障専門家、関係者らは、イスラエル最大の脅威はイランという点で一致しており、最も重大な問題は、イランが核開発を継続的に行い、イスラム教シーア派組織ヒズボラやパレスチナのイスラム根本主義過激派組織ハマスへ資金、軍備、物資を支援していることだと主張した。
ベネット教育相は、イスラエルの一番の脅威はイランの存在だと強調。リーベルマン国防相も、世界最大のテロの脅威はハマスやヒズボラではなくイランの精鋭部隊「革命防衛隊」だと訴えた。シャケド法相は、シリア内戦に介入しているイランは、シリアのアサド政権を支援するヒズボラを強化しており、今後、イスラエルに対する重大な軍事上の脅威となると警告した。
一方、国外の専門家らは、テロ対策に関してイスラエルとは異なる視点を持っていることが明らかになった。
米国のゴルカ元大統領副補佐官(国家安全保障担当)は、オバマ前大統領以前の3人の米大統領は、「リップサービス」ばかりで効果的にテロに対応してこなかったと非難。パキスタン人のカーン国連テロ対策実施タスクフォース事務局長は、国家レベルの政策や暴力に対処する国連決議の実施について、各国首脳に対しレトリックばかりでなく現実的な対処方法に移行するよう働き掛けていることを明らかにした。
テロの宗教的背景をめぐっても議論が交わされ、ゴルカ氏は、政治的イスラム教との戦いは存在するが、実際には統一されたイスラム教は存在しないと主張、問題は、過激派という間違ったイスラム勢力が拡大していることだと指摘した。
また、米国のテロ専門家らは、オバマ前大統領がテロとイスラム教と関連付けることをやめ、暴力的過激主義と呼んだことを指摘。暴力的過激主義や急進主義という言葉は、イスラム教徒への刺激を回避する点で効果的であり、宗教的過激主義をテロの主な原因と見なしたくないオバマ氏の意向を受けたものであることを強調した。
現在のテロ対策は、過激派組織「イスラム国」(IS)のようなテロ組織に賛同する者の宗教的な動機に対し、どのように取り組むかという根本的な問題に直面しているという。加害者が宗教的ではなく単に考え方が誤っているだけなのか、信仰的不寛容な組織への関与がテロへのきっかけとなっているのかを見極めることが必要になってくる。
また、今後のテロ対策は、サイバー戦により焦点が当てられ、投獄されたテロリストが犯行を繰り返すことを防ぐために、収監中に教育を施すことが重要になってくるという。






