質素な同胞団員の結婚式


地球だより

 ある旅行会社を通じて知り合ったムスリム同胞団員が、自分の結婚式に出てほしいというので参席してみた。同胞団の幹部も参加するので紹介するからとの誘いにも興味が湧いたからだ。

 同胞団は、各国にイスラム法の施行を通じて、世界をイスラム化する目標に向かってひた走りしている団体で、各種イスラム過激派の温床となってきたことから、政府にもにらまれている。

 世界中からの観光客が、テロの脅威に二の足を踏み、エジプトへの旅行を控えていることから、彼の給料は限られたもので、とても多額の費用を要する結婚式を行う余裕はないはずなのだが、彼は、同胞団が支援してくれるので、400人ものお祝い客が集まると胸を張っていた。

 参加してみて、女性や子供が多いのに驚いた。確かに400人ほどはいたかもしれない。しかし、男性は親戚らしい人々以外はほとんどおらず、目当ての同胞団幹部らしい人はいなかった。

 幾つか異常に感じたことがあった。その一つは、いかにも動員された感じの人々が多かったことだ。結婚する2人とはあまり関係なさそうな集団が幾つかあった。

 もう一つは、その貧しさだ。会場内施設も貧弱で、中央の電気だけが輝いている。こういう時は通常、一番いい物を着て参加するものだが、いかにも皆、普段着で、食事も質素だった。

 祝賀客を多くして気分を盛り上げ、最低限の費用で済ませるよう同胞団員たちが協力し合っている姿だけは感じることができた。

(S)